専攻医ブログ

「先生、お時間よろしいですか?」

「先生、お時間よろしいですか?」
お時間よろしいですかの後に良い報告が続いた例がない。十中八九面倒ごとだ。
「ブログ書いてください」
やっぱりそうだった。
嫌とも言えず、苦笑いとしながら引き受ける。
引き受けたのは良いが何を書こうか。先輩達のように高尚なことを書いてみたいが、俗物の権化のような私にはいささか難しい。だから、最近感じたことを率直に書いてみたいと思う。

最近、会陰部が痛い。

スポンジめいた頭を絞って出てきた話題がこれである。書いていて自分でも情けないが、他に話題がないので仕方がない。
会陰部が痛いのはその付近の病気に罹ったからではなく、ロードバイクのせいだ。圭泉会病院に入職を決めたのを機に購入した。元々興味はあったのだが、値段が高いこと、乗る場所が限られること、を理由になかなか始めることが出来なかった。しかし、圭泉会病院に入職したことでその二つが解決した。
まずは値段。圭泉会病院の後期研修医の待遇はかなり良い。詳しく当院ホームページ後期研修医募集のバナーをクリックして欲しい。待遇が良いことは嬉しいことだが、それに見合った働きが出来ず通帳を見ると若干の罪悪感を覚える。が、銀行を出るとすぐに忘れてしまう。そんなマネーパワーを用いて分不相応なロードバイクを購入した。総重量約8kg、片手で持ち運ぶことが出来、ペダルを踏めばグングン前に進む。ママチャリとは別次元の乗り物だ。
次に場所。圭泉会病院は川(牛朱別川?)のそばにある。町から程近くを流れる川で、そこに沿って行けば信号に捕まることなく通勤でき、そのうえ運動にもなる。まさに一石二鳥だ。
そう思っていたのだが、未だに愛車で通勤したことがない。あまりに良いものを買ってしまったので、通勤に使うのが惜しくなってしまった。
その代わり休日はしっかり乗っている。圭泉会病院はON/OFFがはっきりしており、休日はしっかり休日だ。「先生、大変です。来てください。」と休みに携帯電話が鳴ることはない。だから、休みは自分の時間をしっかり楽しむことが出来る。
しかし、ロードバイクのサドルはすこぶる細い。楽しんだ分だけ次の日の会陰部に影響する。

だから、最近、会陰部が痛い。

私のアホな生活のほかに病院での出来事も書いておこうと思う。
圭泉会病院はよく言えば閑静な、悪く言えば少し町外れにある。
病室の窓の下には古びたグランドが、その奥には緑の畑が広がり、ちょっと向こうに旭川の町、地平線には緑の山々が伸びている。
「綺麗な景色ですね」
患者さんに話しかけるが返事は返ってこない。患者さんは病気で楽しめる状況でないのだ。
私には色鮮やかな世界も、患者さんには無味無臭、空虚な空間でしかないのだろう。
そんな患者さんをみていると少し寂しい気持ちになる。
早く良くなって、患者さんの景色に色が付けばいいなとよく思う。