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MCI(軽度認知障害)外来を開設しました

MCI(軽度認知障害)とは?

MCI(軽度認知障害)とは、年齢とともに物忘れが増えてきたものの、日常生活にはほぼ支障がない状態です。

例えば、食事や入浴などの日常生活動作には問題はみられませんが、金銭管理や機器の操作など少々複雑な動作が苦手になることがみられます。

医療機関でMCIと診断された方が認知症になるのは 1 年で1割程度といわれています。
抗アミロイドβ抗体薬は、国内で初めてのアルツハイマー型認知症の原因となっている脳のアミロイド蛋白を除去する作用をもつお薬です。

軽度認知障害及び軽度のアルツハイマー型認知症の進行を遅らせることができます。

アルツハイマー病による
MCI(軽度認知障害)と
認知症のちがい

アルツハイマー病によるMCI(軽度認知症)と認知症のちがい

次のような症状・不安がある方に、
受診をおすすめします

  • 最近、人の名前や予定を思い出せないことが増えた
  • 同じ話を繰り返してしまう
  • 買い物や家事、金銭管理に少しミスが増えた
  • 健診や他院で「MCI(軽度認知障害)」と指摘された
  • 車の運転を長く続けられるか心配

受診相談から治療までの流れ

受診相談・予約

当院へご相談をいただき、
MCI(軽度認知障害)外来」の受診予約をします。

当院受診

問診・認知機能検査・画像検査・血液検査を行います。(他院で核医学検査を受けていただくことがあります)
結果をご説明し、治療方針のご相談をいたします。
受診の結果、投与対象外と判定される場合があります。

アミロイドPET検査

他院でアミロイドPET検査を受けていただきます。

投与開始

③で陽性となり、詳しいMRI検査で微小脳出血がない方が治療開始となります。

新しい治療薬の選択肢について

これまで、認知症の治療薬は、ある程度症状が進行し、ご本人の判断が難しくなってからご家族の意向で始められることが多くありました。

しかし、アルツハイマー型認知症では、症状が出現する前から長い年月をかけて脳に「アミロイドβ」というたんぱく質が少しずつたまり、神経の働きを妨げることが知られています。

最近では、この「アミロイドβ」を直接取り除くことを目的とした新しいタイプの治療薬(抗Aβ抗体薬:レケンビ®・ケサンラ®など)が登場しました。

従来の薬が神経の働きを助けることで症状の改善や進行の緩和を目指していたのに対し、これらの新しい薬は認知症の原因そのものに働きかける点が特徴です。

そのため、記憶力の変化がまだ軽い段階(MCI:軽度認知障害)で使用することで、生活の質(QOL)をより長く保てる可能性が期待されています。

薬はどのように効くの?

アミロイドβという蛋白はアルツハイマー型認知症の方、アルツハイマー型認知症によるMCIの方の脳にゆっくりと溜まっていき、脳の神経細胞が減ってしまうきっかけとなったり、脳の神経同士の情報のやりとりの邪魔をします。

抗アミロイドβ抗体薬は、点滴によって体内に入り、血流によって脳に運ばれます。そして、抗アミロイドβ抗体薬は神経のまわりに溜まっているアミロイドβ蛋白に結び付き、あとは自分の免疫の力でアミロイドβ蛋白を取り除いていきます。

アミロイドβ蛋白を取り除くことで症状の進行を抑制するというのが、抗アミロイドβ抗体薬の効果です。

ただ、どんなお薬でも副作用がありますが、点滴にともなう過敏反応である発熱、頭痛が起きるInfusion reaction(インフュージョンリアクション)や、その過程で、まれに「脳のむくみ」や「小さな出血」などARIAと呼ばれる反応がみられることがあります。

このARIAは、投与された方の一定の割合(1~2割程度)で認められますが、その多くは無症状です。しかし、まれに頭痛やめまいなどの症状が出ることがあります。

安全に治療を進めるため、定期的なMRI検査で脳の状態を厳重に確認します。

Infusion reactionにしても、ARIAにしても適切に対応することが可能なので過剰に心配することはありません。

治療の期間と進め方

これらの薬は、定期的な点滴投与によってゆっくりと効果を発揮します。

1回の点滴はおよそ1時間前後で、治療の間も普段の生活を続けることができます。

臨床試験(治験)では、18か月間の継続投与で効果が示されていますが、実際の臨床では、MRIの結果やご本人の状態に応じて投与期間を柔軟に調整します。

また、効果を確認するために定期的に認知機能検査や画像検査を行い、「治療を続ける意味があるか」「中止すべきか」を一緒に検討していきます。

主な抗Aβ抗体薬の特徴

薬剤名 レケンビ®(レカネマブ) ケサンラ®(ドナネマブ)
作用の
特徴
脳に溜まった「Aβプラーク」と、その前段階の「Aβプロトフィブリル」両方に結合し、除去する働きがあります。 主に、すでに固まった「Aβプラーク」に強く結合し、除去する働きがあります。
効果の
特長
病気の進行をゆるやかにし、記憶や日常動作の維持期間を延ばす効果が確認されています。 同様に進行抑制効果が認められており、Aβの減少がより早い段階で見られるという報告もあります。
点滴の
頻度
2週間に1回(1時間かけて静脈点滴) 4週間に1回(30分かけて静脈点滴)
投与方法

静脈点滴

初回投与時、2回目投与時は観察が必要なため、1泊入院となります。

3回目以降は、外来にて投与します。

投与期間
の目安
原則18か月間
(その後も状況に応じて継続可)
治療開始後12か月の時点でアミロイドPET検査の結果が陰性化していれば、その時点で投与終了。陰性化していない場合は、原則最大18か月まで継続。
副作用・
注意点
ARIA(脳のむくみ・小出血)のほか、点滴後の頭痛・倦怠感など軽い症状が出る場合があります。 同様にARIAのリスクがあり、開始初期はより慎重なMRIフォローが必要。
検査 定期的にMRI検査、認知機能検査を行い治療状況の確認をいたします。

(※1)重篤な副作用が出た場合は、連携先の脳神経外科に受診していただく場合があります。

(※2)Aβプラーク:アミロイドβが脳内に沈着して固まったもの。

(※3)Aβプロトフィブリル:Aβプラークになる前の、毒性が高いとされる段階のAβ

治療の自己負担額

各種検査や治療薬の投与は医療保険が適用され、高額療養費制度をご利用いただけます。

費用負担は各種条件によって異なりますので、詳細は当院医療相談室、または医事課にご相談下さい。

相談窓口

相談・予約受付電話番号

0166-36-1559

(代表)

0166-37-2810

(認知症疾患医療センター)

相談・予約受付時間

月曜日~金曜日

9:30~12:30  13:30~16:00

MCI(軽度認知障害)外来診療日

電話相談後に、外来日時を調整させていただきます。