専攻医ブログ

最近ショックをうけた事について

産休育休をいただき、丸1年ぶりに仕事復帰させていただきました。
夢中になって毎日を過ごしているうちに、気がつけば復帰してからもう半年以上が経過したんですね。
他の先生方のように、ためになるお話を書こうと思って色々悩んでみたものの、結局表題のようなくだらない内容になってしまいました。 診療や勉強のこととは関係のない話ですみません。
でも同じようなことで悩んでいる人もいるかもしれないと思い、書きました(いないか…)。

先日、入院患者さんに「ねえねえ、看護師さん」と声をかけられました。実は看護師と間違えられることはしょっちゅうです。そのため入院患者さんからよく、使い終わったドライヤーの返却をお願いされたり、腰のコルセット巻きなおすの手伝って~などと頼まれます。特にイヤではないです。医師になりたての頃は「私って全然医者っぽいオーラが出てないんだな…」と落ち込んだりもしましたが、でも話しかけやすい、頼みやすい、ということはポジティブに考えれば、親しみやすい、相談しやすい医療者ってことですよね? これって精神科医には必要な要素ですよね♪ と思っています。ポジティブすぎでしょうか。

そんなわけで先日もいつものように「看護師さん」と声を掛けられたわけですが、急いでいたので「ごめんなさいね、看護師さんじゃないです」と説明し、詰所の中に声を掛けてもらうようお願いしました。 するとなんということでしょう。患者さんは「あれ、看護師さんじゃないんだ。そっかまだ学生さんなんだね~」と言い、学生さんを困らせて悪いことしちゃったね、とでもいうような優しい微笑みまで残して立ち去って行きました。 看護学生さんと間違えられたのは初めてでした。 というかこれでも卒後5年目(うち1年間は産休育児でお休みしていますけれど)を迎えるにも関らず、オーラはドクターどころかまだ学生さんレベルらしいということが判明。 さすがにショックでした。
ちなみに若くみえて学生さんに間違われたというハッピーな事態ではないと思われます。当院では多くの看護学生さんを受け入れており、病棟内では熱心に実習に励んでいる彼らの姿をよく目にしますが、看護学生さんの年齢層は幅広く、ある程度人生経験を重ねてもう一度看護を勉強し直しているという向上心あふれる方々も決して珍しくはないからです。 もちろん若い方もいますけれど…。ちょっと待って!何歳に見えたかだけ教えてもらえない!?と患者さんを追いかけたい気持ちに駆られましたが、もちろんそんなこと恐ろしくてできません。

昔、初期研修医で各科ローテートしていたとき、私は今よりもっともっと頼りなくみえたようで、回診に回るたびに、あちこちの患者さんから「アメちゃん食べるかい」「お菓子あげようねえ」とまるで遊びに来た孫のように扱われていました。

気持ちは嬉しかったのですが、困った事態でそのときも内心焦っていました。 その中の1人の入院患者さんが私のことを、こんな初々しい子がお医者さんなんだね、というようなことを言ってくださった時、指導医がすかさず、「いやあ、今はこんな風だけど(どんな風だというのでしょう)、あと数年もしたら小憎たらしい女医になるんだよ」とツッコミを入れていたのを思い出します。

あのときと比べると多分、小憎たらしくはなったんでしょうけど、残念ながら医者らしくはなっていないようです…。 それから数年が経ち、今まで患者さんに医者らしく見てもらえなくても、のほほ~んと構えていた私ですが、親しみやすさ、どころか学生さんに間違われるほどオーラの弱い私が主治医で不安に思う患者さんもいるかもしれない…という可能性に最近ようやく思い当たり、なんとか頼もしさの要素をプラスしようとがんばっている今日この頃です。 目指すは『ああ、先生の顔を見ただけで安心しました』と患者さんに言ってもらえるくらいの存在感なんですが、そこまでに至る確かな信頼関係、確かな臨床力等々、どれをとっても道のりは遠くてゴールが見えません。 妊娠・出産を経て体格が立派になりつつあったり、白髪が急に増えてきてある意味外見の貫禄だけはついてきた気がするんですけどね…。うぅ。

すみません、本当にくだらない話を長々としてしまいました。 どうでしょう、同じような悩みを持った研修医の先生、いらっしゃいませんか?

さてさて、子育てしながらの勤務はそんな暢気なことばかり言っている場合ではなく、実は復帰してからのこの半年間は娘の発熱で突然お休みを頂くこともしょっちゅうで、毎回1人で赤くなったり青くなったりしておりました。 先生方にも御迷惑をおかけしているなあ…、と思うと産後太りした身体も、みるみる萎んでしまいそうなくらい恐縮です。 しかし院長をはじめとして、「子供は熱を出すもんだから」「大丈夫かい?」と暖かいお声をかけてくださる先生方ばかりで、本当にありがたい職場です。

子供の体調に振り回されてなかなか自由の利かない身ではありますが、今後とも先生方の優しさに感謝し、そして甘えすぎることないよう自分を律しつつ、向上心を忘れることなく日々の診療に取り組んでいきたいと思います。 そうすれば自然と患者さんにも頼れる医師として見てもらえる日がくると信じて…。