病院便り

職員ブログ(検査部)

皆さん、こんにちは。 今回は検査部を紹介いたします。

検査部は病気を診断するための様々な検査を行う部署です。 当院では放射線技師3名、臨床検査技師2名、受付1名のスタッフが脳波や心電図などの生理検査と、CTやMRIなどの画像検査を行っています。

検査部で稼動している検査機器の中から、今回はCTについてお話したいと思います。近年の医療の進歩は、高度なコンピュータ技術に支えられた各種画像検査の開発によるところが大きいと云われます。その先駆けとなったのがCTです。

CTとは、X線とコンピュータによる画像再生技術で人体を輪切りにした画像を作成する検査機器です。レントゲン博士のX線発見に優るとも劣らない医療革新と云われるCTの発明、体内の臓器や病巣を鮮明に映し出す画像は従来のX線診断に大きな衝撃を与えました。発明した英国人のハンスフィールドは、後にノーベル医学生理学賞を受賞しました。

実はこのハンスフィールド氏、医者でも物理学者でもなく医療業界とは全く無縁の英国EMI社のエレクトロニクス・エンジニアでした。音楽好きには馴染みのレコード会社EMIが医療機器CTを開発し製品化したのです。そして所属していたミュージシャンの中にいたのがビートルズでした。1960年代に活躍したビートルズは、記録的なレコードの売り上げでEMI社に莫大な利益を齎しました。その利益を背景にした潤沢な資金が、後にEMIスキャナとして商品化されるCTの開発費につぎ込まれたと云われます。

このエピソード、CTが「ビートルズの最も偉大なる遺産」と云われる所以です。そして1975年に訪日したエリザベス女王が「貿易摩擦の解消に導入してはいかがでしょうか」とトップセールスしたことから、当時1億円を越えるEMIスキャナが日本に初めて導入されたのです。今では全国に1万3千台を超えるCTが稼動しており、日本は世界一のCT保有国になりました。臨床の場で実用化されてから40年、CTはコンピュータ技術の進歩と共に目覚しい進化を繰り返し医療に欠かせない存在になりました。

当院では1988年に初めて導入されてから現在の装置(64列マルチスライスCT)で4代目になります。代を重ねる毎に情報量は倍増し画質は格段に向上、撮影時間は大幅に短縮されました。当初20~30分だった検査時間は現在2~3分、数秒の息止め時間で数百枚の輪切り画像が得られ立体画像も再構成できます。

CTは今後も進化を続けていくことでしょう。 様々な分野で人工知能が活躍し始めた現在です。 近未来には画像診断の枠を超え全身の生体情報を瞬時に取得できる、まるでTVドラマ「スター・トレック」に出てくるような検査機器が登場するのも夢ではないような気がします。